質の高い高齢者ケアを実現するためには、ケアを提供する「介護者」の心身の健康が不可欠です。しかし、現実には多くのご家族やケアスタッフが、自分自身のケアを後回しにして限界まで頑張り続けています。
第一に求められるのは、心理的負担を軽減するためのレスパイトケア(休息)の概念を定着させることです。
介護は終わりが見えにくく、24時間体制で緊張を強いられることもあります。「少し休みたい」と思うことは決して悪いことではありません。デイサービスやショートステイなどの社会的サービスを罪悪感なく利用できるよう、カウンセラーが心理的なハードルを下げるサポートを行うことが重要です。
第二に、「共感と承認」の場を提供することです。介護の苦労は、当事者以外にはなかなか理解されにくいものです。「誰にも分かってもらえない」という孤独感は、ストレスをさらに増幅させます。そこで、高齢者ケアストレスカウンセラーが専門的な立場で話を聴き、「十分に頑張っていますよ」と客観的に承認することで、介護者は自分を取り戻すことができるのです。
ほかには、同じ悩みを持つ人同士が交流できるピアサポートの場を作ることも効果が期待できます。互いの経験を共有し合うことで、新たな気づきや安心感を得られます。介護者が心にゆとりを持てて初めて、高齢者に対して優しく、質の高いケアを提供できるのです。
介護者を孤立させず、社会全体で支える仕組みと心のケアを両輪で進めていくことが、高齢化社会を支えるうえで大切です。